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『絶叫』はWOWOWプライムで放送された社会派サスペンスです。マンションの1室で複数の飼い猫に食われた女性の孤独死と思われる遺体が発見されますが…。
社会的、経済的に不幸な出来事が重なり、人生が転落していく主人公の壮絶な生き様が描かれています。
この記事では相関図、原作、あらすじから現代社会における暗部に触れていきます。
絶叫の相関図・キャスト一覧

絶叫の原作は?
『絶叫』の原作は推理作家 葉真中 顕 (はまなか あき、1976年3月1日生まれ)による社会派サスペンスミステリー小説です。2014年に光文社から刊行されました。
東京・国分寺のアパートで発見された女性の遺体は複数の猫に食われて原型をとどめていませんでした。
捜査を担当した刑事・奥貫綾乃(小西真奈美)は金魚鉢に入った鈴木陽子(尾野真千子)名義の通帳を見つけますが、同時に違和感も感じ陽子の人生を追いかけます。
一方で、NPO法人代表・神代武(安田顕)が日本刀でめった刺しにされ殺害された事件を追う過程で陽子との接点を見つけることに…。
思わぬところでつながっていた二人が再び接点を持ち、どんな展開を見せていくのかを奥貫綾乃の視点で追いながらストーリーは進められていきます。
第1話あらすじと感想
あらすじ
冒頭、東京・国分寺のアパートで女性の孤独死が発見されます。遺体は飼い猫に食べられており、身元は鈴木陽子(尾野真千子)と推定されました。
刑事の奥貫綾乃(小西真奈美)は不審点から事件性を疑いますが、上司は別件のNPO代表・神代武(安田顕)殺害事件で手一杯でした。
陽子の生い立ちは悲惨で、母から虐待され、父は失踪。上京後は保険会社に勤めますが、過酷なノルマと上司の支配に苦しみ、自分で契約を水増しするほど追い詰められます。
やがて綾乃は、陽子が二度結婚し二人の夫が死んでいる事実を突き止め、ただの孤独死ではなく大きな事件と関わる人物だと確信します。
一方、神代事件の容疑者・梶原は「神代を殺したのは女だ」と供述するのでした。
感想
陽子の少女時代のエピソードは原作ではもっと悲惨に描かれています。お祭りでテキヤをしていた神代と母親に愛されない陽子の糸が、このときに繋がってしまっていたのですね、運命と言えるでしょう。
陽子はこのとき神代にもらった金魚をずっと大事に育て、大人になっても飼い続けていています。何年も経つともう少し大きくなっているはずなので、同じ金魚が生き続けている、という設定だとしたら大きくないと変なのですが、細かい事を気にしすぎですね。
モノローグは最初、刑事の奥貫綾乃役の小西真奈美さんが事件を辿りながら語っているのかと思いましたが、陽子を演じている尾野真千子さんの声でした。
もしかしたらこのモノローグは金魚の視点かもしれませんね。金魚が見てきた事を語っている、という設定だと腑に落ちる気がします。
愛する息子が交通事故で亡くなった時の母親役の麻生祐未の叫び方すごいです。これなんですね、タイトルの「絶叫」は。麻生祐未さんの演技歴において、これほどの「叫び」はなかったのではないでしょうか?
また、尾野真千子さんも叫びます。母親から弟が死んだのはあんたのせいだ。あんたが死ねばよかったのに、とひどい言葉を浴びせられ海に向かって悲しみと怒りの叫びをあげました。
第2話あらすじと感想
あらすじ
刑事・綾乃(小西真奈美)は鈴木陽子(尾野真千子)が二度結婚し、いずれも夫と死別していることに疑念を抱き、実家を訪ねますが、家は既にビルに変わっており情報は得られません。
一方、陽子は母・妙子(麻生祐未)への仕送りで生活が困窮する中、保険会社を契約解除され、再就職も叶わず、デリヘルで働き始めます。
元ホストの礼二(郭智博)と同居しますが暴力を受け、生活はさらに悲惨に。
追い詰められた陽子は、弟の事故死で保険金が支払われた過去を思い出し、保険金殺人を思いつきます。その矢先、神代(安田顕)らによるデリヘル狩りに遭いますが、逆に神代に保険金殺人を持ち掛けました。
綾乃は妙子が保管していたへその緒を発見しDNA鑑定に出そうとしたところ、楠木から「神代と鈴木陽子がつながっていた」と連絡が入るのでした。
捜査の結果、楠木(前川泰之)は神代と陽子の関係を突き止め、綾乃も陽子が三度結婚し三人の夫と死別している事実を確認。二人が共謀し保険金殺人を繰り返していたと断定します。
感想
原作に沿ったストーリー展開ではありましたが、ソフトタッチにしてありましたね。原作はもっとエグい描写になっています。原作を実写にしたとき原作との違いにどうしても目がいってしまいがちですが、個人的には別物としてとらえる方が気持ちよく見れるのかなと思ったりします。
原作では刑事の楠木は悪い男で、綾乃は楠木と不倫をしていました。
綾乃にもまた抱える闇があったのです。
保険会社の契約を切られて、やむなくデリヘルで働くことになるのですが、なぜ元ホストを引き入れることになってしまったのか?その部分が女の弱いところ?
デリヘルまでして稼いだ金を男に搾取されるとは、と情けなく思いましたが、何かにすがりたいという気持ちにつけ込むのが上手い人もいますものね…。
終盤で陽子が幼かったころ夏祭りで会った神代と再会する訳ですが、お互いにわかっていたのでしょうか?
わかっていなかったとしても、デリヘル狩りで拉致した陽子と組むことになったのも、二人の間につながれた糸があったからだと考えました。
第3話のあらすじと感想
あらすじ
陽子(尾野真千子)は暴力を振るう同居人・礼二(郭智博)の殺害を神代(安田顕)に依頼し、1億円近い保険金を狙います。
弟の事故死で警察が「運転手に過失がなければ殺人罪に問わない」と知っていた陽子は、礼二を泥酔させ路上に寝かせ、ひき殺す計画を成功させました。
以後、神代は「換金ビジネス」と称して同様の手口を繰り返させます。
陽子は運転手役の男と結婚し、その夫を別の運転手にひき殺させる――という恐ろしい連鎖を続けていたのです。
綾乃(小西真奈美)は陽子と神代が保険金殺人を共謀していた事実を突き止めますが、被害者となるのはホームレスの男たちであり、彼らを生み出す社会構造にも疑念を抱きます。
そして未解決の鍵は、3人目の夫をひき殺した後に行方不明となった運転手・八木徳夫(片桐仁)の行方でした。
感想
神代は天性の人たらしです。社会からつまはじきされたホームレスや社会不適合者に自信を持たせ、社会に必要な人間なんだ、と思わせて魅力的な言葉で巧みにからめとっていくのです。
怪しいカルト集団の教祖のような資質を持った人間で言葉を使って人を操る、このような才能を持っている人は良くも悪くもリーダー的な力があり、影響力も持っています。
自尊心と居場所を与え、神代の言うなりになる人間へと洗脳していく。。。陽子もまた同じようにして神代の広げた手の中から逃げられずにいました。
認知症になった母親に助けを求めるシーン、壮絶でした。演技派女優二人の奥深さを見せられた感じでした。
弟が死んだときと同じ場所で海に向かって絶叫した、この時に陽子は神代と決別する決意をしたのだと思います。
八木に真実を打ち明け、一緒に逃げようと持ち掛ける陽子の向こう側で金魚が泳いでいます。そしてモノローグ「陽子、もうすぐだ。もうすぐここから逃げ出せる日が近づいている。。。」このモノローグ、やはり金魚目線ですよね。
最終話のあらすじと感想
あらすじ
綾乃たちは逃亡中の八木徳夫(片桐仁)を北海道で確保。八木は保険金殺人を認めますが、神代殺しは否定します。しかし陽子(尾野真千子)の死を知らされると驚き、ついに真相を告白しました。
陽子は神代(安田顕)の隠した3億円を探し出し、八木と共謀。神代を油断させた隙に八木がスタンガンで襲い、陽子が日本刀で刺殺しました。「人生、笑ったもん勝ちや」
その後、金庫から1千万を八木に渡し、残りを自分のものにします。さらに国分寺のアパートではデリヘル時代の同僚・樹里(酒井若菜)を殺害し、へその緒を盗んで自らの遺体と偽装。猫を残し立ち去りました。
陽子は認知症の妙子を連れ出し殺害しようと首を絞めます。妙子が生きていたらDNA鑑定で遺体が陽子ではない事がバレてしまうからです。
このシーンで初めて陽子が妙子に可愛がられている映像が流れます。そして妙子の口から始めて『陽子!』と呼びかける愛に満ちた声が発せられたのでした。その刹那、自ら死を選び崖から転落します。
そして陽子の悲痛な絶叫が谷に響きました。
鈴木陽子を、この世から抹殺した事に成功した陽子は樹里の本名「橘すみれ」を名乗って実家跡地のビルでカフェ「ミス・バイオレット」を開業します。
陽子の足取りを追う綾乃は再び陽子の故郷の街を訪ねました。そして1年半前にも聞き込みで訪れた「ミス・バイオレット」へ向かいます。そこで、カウンターの奥にいるオーナーの姿の目をやります。
「彼女にあった事は一度も無いのに、彼女の事をずっと追いかけていて、鈴木陽子あなたをずっと探していた。」とつぶやくように話しかけました。
ゆっくりと振り向いた陽子は「やっと終われる」と小さく微笑みました。
感想
『居場所がなければつくればいい、自分になれる居場所を。私はそうする』4人目の犠牲者になるところだった八木に向けた陽子の言葉です。それは自分に向けていった言葉でもありました。
ずっと狭い水槽の中で生きてきた陽子はやっと外に出る決意をして、自分の居場所を死に物狂いで手に入れました。
しかしその場所も陽子にとっては窮屈な空間。綾乃に見つけられ「やっと終われる」とつぶやいた言葉の意味はなにか…?
原作では陽子は整形をしており、綾乃に気づかれることはありませんでした
これまでずっと金魚は1匹でしたが、最期の場面ではたくさんの金魚でにぎわっていました。
カフェを経営し、居場所もできで仲間も増えた、ということが表現されていたのかもしれませんね。だけど、そこはやはり狭い水槽の中なのです。
結果的に抜けられない現状に自らを追い込んでしまった陽子の諦めと、見つけてもらえたことで解放感を得たようにも見えました。
次々と転落していく人生を選んでしまった陽子の、抜けだそうとして身をよじるほどに深みにはまっていく様子には、安っぽくて安易な「救い」がない分、リアルを追求した作品であったのですが、誰もあのような人生にはならないくて済むような選択をしてほしいと思いました。
まとめ
WOWOWプライムで放送された『絶叫』は全4話と短く、原作とは違ったとらえかたで描かれていました。
時折入るモノローグは本作中ずっと登場していた1匹の金魚が、水槽の中から見た陽子を語っていたように思えました。
安田顕さんが演じた神代はあのような最期で残念でしたが、原作における神代はもっと容赦ない暴力的な人間です。
本作では人を惹きつける魅力を持ち、弱い部分にスッと入り込む不気味さと静かな恐ろしさを演じていました。
この作品では主人公の鈴木陽子、刑事の奥貫綾乃、また保険の外交員・栗原芳子らのような、たった一人でで生きている女性たちの悲しみや葛藤が描かれており、同じ女性として胸に詰まるものがありました。


